○港湾法の運用について

昭和二十九年十一月十二日

港管第一八六号

運輸省港湾局長

名古屋港管理組合殿

港湾法の運用について

港湾法の運用については、従来疑義のある点もあり、又第十九議会において同法の一部が改正されたので、今後の法の運用については左の点に留意されたい。

一 法第二条第六項の規定による港湾区域外施設の港湾施設としての認定は、港湾区域の変更により処理し得る場合には、行わない。すなわち、港湾区域外にある航路、泊地、船だまり等については、港湾区域の変更により処理するものとする。

二 港湾区域の認可申請をする場合、従来関係地方公共団体の協議の成立をまたずに行うことが少くないが、これは法第四条第四項の要件を欠くものである。また、関係地方公共団体の意見の申出があり協議が行われたときは、賛成又は反対に拘わらず協議の成立の要件として議会の議決を経ることが必要であるから、認可申請は、その議決をまつて行わなければならない。ただ、成立した協議の内容と公告された事項又は申し出た意見の内容とが同一である場合に、申し出た意見の内容について、あらかじめ議会の議決を経ているときは、あらためて議決をすることを要しない。

三 港湾区域の変更の認可申請に際しては、法第四条第三項の規定が準用されないから、議会の議決を要せず、公告をすることも要しないと解されるが、議会の議決を求め関係地方公共団体と協議することを妨げるものではなく、むしろこの手続を経ることが適当である。

四 第十二条第一項第二号で新たに加えられた「港湾区域に隣接する地域の保全のため必要な港湾施設の建設」は、従来から港湾管理者が行つていたものであり、港湾管理者に新たな義務を課したものではない。同項第三号の二の追加についても同様である。

五 第十二条第一項第四号の二の「水域施設の使用に関し必要な規制を行うこと」は、地方公共団体である港湾管理者は、従来とも地方自治法を根拠に行い得たものであるが、港湾法に規定することを適当と認めて追加したものである。この規定は、あくまで港湾施設としての水域施設の利用の向上及び適正化をはかることを目的としているものであつて、港内の交通の安全及び整頓に干与することを認めているものではない。水域施設のうち泊地を使用せしめた場合に、その対価として料金を徴収することは、さしつかえない。

六 第十二条第一項第九号の「一般公衆の利用に供することを要せず、又は自ら運営することを適当としないもの」の判定については、所轄海運局、港湾建設局、税関等の関係行政機関及び関係業者の意見を徴することが望ましい。一般公衆の利用に供すべきものを、専用貸付することは、第四十六条第二項の規定に違反する。

七 第十二条第一項第十号の「施設の使用の規制」には、料金に関する規制も含まれる。施設を使用する一般利用者に一定料金を守らせる措置をとることが、ポートチヤージの節減により、施設の有効な利用を促進することになる場合には、かかる措置をとることが可能である。但し、この場合には、条例又は条例の委任に基く規則によらなければならない。

八 第十三条第一項については、解釈がまちまちであるが、港湾の適正な管理又は港湾の利用の増進のために私企業の不公正な活動を是正すること、港湾の利用者に対し、より良いサービス(効率的な荷役機械を設置し、低廉な料金により使用させること等)を提供することは、本条違反にはならない。また、民間企業による施設又は役務が欠けているため、又は著しく不足しているため、港湾管理者が施設を建設し又は役務を提供した後に民間企業が進出してきた場合にも、本条違反になるものではない。

九 第三十七条の規制は、規則によつて行うべきであつて、条例によることは適当でない。また港湾管理者以外の地方公共団体が本条と同様な内容を条例によつて規制しているため港湾管理者の長の権限と重複している場合は、前者の条例は無効である。

十 第四十四条の規定により港湾管理者が公示しなければならない料金は、一般公衆の利用に供する施設又は役務の対価として徴収する料金のみであり、専用使用させる場合の料金は、これに含まれない。

十一 国が工事の費用の一部を負担又は補助した港湾施設を譲渡等する場合には、法第四十六条第一項の規定により処理されるが、この場合貸付の期間が三年以内であつても、契約又は使用許可処分の変更により、実際には期間が三年以上になるときは、運輸大臣の認可を要する。同条第一項の「一般公衆の利用」については、単に貸付を受けたものが不特定多数の利用者を相手にするというのみでは不充分であり、提供の方法、料金等が港湾管理者の場合と同じであつて、その施設が真に一般公衆の利用に供されることが確保されていることが必要である。なお、施設の譲渡等の場合には、関係行政機関の意見を徴することが望ましい。

十二 法第四十八条の港湾計画の立案に当つては、関係行政機関(港長を含む。)、学識経験者、関係業者の意見を徴することが望ましい。

十三 法第四十九条の報告の公表及び提出は、港湾管理者の法律上の義務であることを留意して励行されたい。運輸大臣に提出する報告の内容は、各事業年度の収支決算書(案)及び提供する施設、役務の料率等である。

十四 港湾の管理について広く意見を聴くため、諮問機関としての港湾審議会を設置することが望ましいが、その設置は、地方自治法の規定により必ず条例又はその委任に基く規則によらなければならない。

十五 国有港湾施設の処理に関する蔵管第二九三九号及び蔵管第二九四〇号(昭和二十九年九月二十二日)は、法第五十五条の規定による既設の国有港湾施設(現在海運局の所管するもの)を対象としたものであつて、港湾建設局の所管にかかる精算未済の港湾施設の処理については別途指示するところによる。

港湾法の運用について

昭和29年11月12日 港管第186号

(昭和29年11月12日施行)

体系情報
名古屋港管理組合例規集/
沿革情報
昭和29年11月12日 港管第186号